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​有根型

 2005年秋、イギリスの森林地帯にて調査を行っていたT.ノートンが初となる有根型を捕獲したとき、彼は平行植物の新種を疑っていたという。殆ど自身の居場所から動かずに地面すれすれの低空飛行(浮上、といったほうが正しいか)を行い、下部の下に、更に根のような器官を持つ有根型をひとたび観察すれば、彼の誤解も頷ける。透明化と錯覚という諸能力がなければ、おそらく平行植物としての調査が行われていたに違いない。

この有根型の発見はいうまでもなく山説の、特に植物とする研究者たちの大きな根拠となった。観測時サイズが実寸とほぼ同じであり、薄い緑の体色をもっていた事もあり空中生活に移行する直前の原始的な種であるとされたのである。一方で海説の者たちは、これはクラゲで言うところの「ポリプ」のような、定着し増殖を行う形態であるといった反論を行っている。あるいは、以前、我々の発表に際しロフト,C氏より挙げられた陸生頭足類を例に挙げる海説論者も存在する。

現在確認される種は上硬下軟型2種(内1種観測のみ)、上軟下硬型2種(内1種観測のみ)。軟組織が特殊形状形成に役立っている、という理論は有根型にも当てはまってはいるようであるが、他の形状には必ず見られる上軟下軟型が存在しないところを見ると、有根型に限ってはむしろ硬組織のほうが関係しているように思われる。

この特殊形状についても、風船型同様「根」の処遇について議論が生じたが、全て下部とは逆の形質を持つことから上下硬軟区分にて後ろに×印をつけることで区別している

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